永遠の輝きはダイヤだけではない

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「遺作」というものを読んでいると、偶に、猛烈に歯がゆくなってきます。全身を掻きむしりたいほどに。もっとこの作家の沢山の作品が読みたかったのに、なぜお亡くなりになってしまったのか! という、理不尽な怒りが沸々とこみ上げてくるのです。人の世というのはなんて短いのでしょうか。人生は地球の歴史規模でみたら限りなくあっという間です。気付いたら生まれて、死んでいたという、一瞬間のもののような気がします。特に、文豪にはその感が強いのです。
油が乗って、これからという時にこの世を去ってしまったり、書きかけのまま逝ってしまったりと、なぜ終わりがあるのか。こんなに優れた作品を作ることのできる逸材をどうしてこんな無慈悲な! 大きなものに対して反発してしまいます。
しかし、その一方で、亡くなってしまっているからこその著作の輝きというものも否定出来ないのです。それは、褪せることのない、永遠の輝きを放っているのですから。自分が死んでしまっても、その後の人々が己の遺したものに感動してくれたりしたらどんなに幸せなのだろうと、そういう意味では限りなく羨ましくもなります。もっと生きていてくれたら、と儚んでくれる人がいる。それだけでいいのかもしれません。

小説系

強烈な感覚

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「夢十夜」ではありませんが、こんな夢を見ました。ワラスボという魚がいて、それを必死に獲っているのです。専用の捕獲道具を使い、延々と背中の背負籠に入れていきます。可愛くないというか、独特な面構えといいますか、要するに、エイリアンじみているのですが、れっきとした食用です。佐賀県近くに生息しています。それをずっと海の泥の中をかき回しながら求めているのです。
起きると、枕元には異世界生物との対戦小説が置いてありました。「これのせいか」と憎々しく思いながらも起き抜けに2,3ページ読んでから出勤します。なんとも、寝起きの悪い朝です。その日の昼食は魚介類が食べられませんでした。
ふとした時に、あの顔が頭に浮かびます。その度に眉をしかめ、首をふり、思考の中から追い払います。やがては、仕事場の上司の顔がワラスボに変わって見えます。帰宅してから、寝支度を整え、ベッドに横になります。そして、あの悪夢の元凶を開きます。そして物語の奥深くに入り込み、いつしか眠りに落ちます。その日は何も見ませんでした。次の日、少し味気ない気がします。もう後味の悪い思いは残っていないのですが、不思議です。慣れてしまったのか、なんなのか。上司もいつもの人でした。

小説系

やっぱり映像よりも紙派です。

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この前、初めて洋画の3D映画を友達と観に行ったのですが、三半規管が抜群に脆弱な友人は、早くも最初の10分やそこらでダウンしてしまいました。裸眼では、画面が二重にみえてしまうので、どうしても物語に入り込めず切ない思いをしたと、上映が終わり、施設を出てから立ち寄ったカフェで話していました。画面から飛び出してくるように観えるので、躍動感がものすごいのです。それだけに、その臨場感を味わえないのはとても可哀想だなぁ、と同情します。「次からは2Dにしようね」と慰め、お開きになりました。
しかし、私も、ホラーなんかは絶対に観られないのだろうな、と思います。多分、とてつもなくド迫力で怖いです。まだチャレンジしていないのですが、おそらく確実に途中で席を立つことでしょう。
しかし、映画もいいのですが、やっぱり私は小説派です。飛び出さない、音声がない、動かない、それでも、文字を追うのが一番好きです。自分のペースで進められるし、想像の余地がありますから。浮気はしてもちゃんと本妻のところに戻る亭主さながらに、その帰りは書店に立ち寄り、面白そうなものを何冊かを購入してから帰途につきました。目は疲れているけれど、ゴロゴロしながら楽しむ。これが最高の贅沢なのです。

小説系

人の趣味は千差万別

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学生時代、マンガやアニメに青春を傾けている友だちがいました。この前、その友人をフェイスブックで見かけて読んでみると、相変わらずその趣味は健在のようで「同人活動」なるものをしているらしいのです。好きな作品のキャラクターを使って自分で考えたストーリーで動かすらしいのですが、小説本を出しているとのことでした。ちょっと気になったので通販で購入して目を通すと、とびきり面白いのです。元の作品を知らなくてもじゅうぶん楽しめる内容になっていて、継続はまさに力なのだな、と感じました。
早速、原作を書店で購入すると、ストーリーが全然違って驚きました。これを元にあれを考えたのか、と衝撃を受けたのです。完全なるオリジナル作品に仕上がっていて、「別に人物を借りてこなくてもいいのでは?」「オリジナルとして作ってしまえばいいのに」と思いました。
SNSを使って感想を書くと「ヤバい! やめて! 恥ずかしいから! なんで買うの!!」と返ってきて「でも、すごく良かった。独自のものを作ればいいのに」と送ると「それだとね、読者がつかないんだよ。それに、好きでやってることだしね」と。そっちの世界にもいろいろな事情があるんだろうな、と思いつつ、本棚に飾りました。表紙が周りのものと少し浮いているけど、お気に入りの一冊です。

小説系

ちょっとだけゾッとする話

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怖いのは嫌いなのに、読んでみたくなります。ホラー小説を。最近読んだのは小野不由美の「残穢」です。これ、本当にフィクション?と思ってしまうようなリアルさが恐ろしかったです。「屍鬼」のような、集落が突然襲われるジワジワしたもの、低年齢向けですが惹きこまれる「ゴーストハント」も大好きです。「ゴーストハント」は新装版が出て購入しましたが、夜、電気を消すと、ぽっと暗闇に光る装丁がそれだけでちょっとブルブルします。他には京極夏彦作品も好きで、「嗤う伊右衛門」には度肝を抜かれました。四谷怪談のパロディーのような作品なのですが、とてもいいお話です。
怖い、といえば、先日ある奇怪小説を読んでいた時の事です。突然、箪笥の上に乗っていた小物が落ちてきたことがあります。そんな淵に置いてあったわけではなかったのに、なぜか突然に。勿論窓は閉めていました。ちょっとだけ、寒気がしました。そういえば、友人の話なのですが、昔、書店で働いていて、仕事の途中に「神の子供たちは皆踊る」という本が棚から落下したそうです。その日その後に少し大きめな地震が来たらしく「なんか偶然ってすごいな」と言っていました。それは阪神大震災のオマージュ的な地震にまつわる短編集だったようです。

小説系

文学に浸る冬景色

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新幹線の車両の中で、雪がこんこんと降っている窓の向こうを見つめていると、川端康成の「雪国」がふいに浮かんできます。雪化粧が施された風景はなんとも情緒的で、主人公になりきって曇った窓を手で拭いたり、見通しの良くなって鏡のようになるそこを覗いて、反対座席の人の顔を眺めたりしてしまいます。
中学、高校生ぐらいの素朴な女の子を見かけたりすると、こんどは芥川龍之介の「蜜柑」を思い出し、外国の方を見かければ夏目漱石の「三四郎」、お腹がすくと何故か内田百閒の「阿呆列車」が。これは「ご馳走帖」の影響もあるのかもしれません。
行く先々、体験する事によって、そういえば、あの場面!と思いだしては登場人物や情景に浸り、ノスタルジーに想いを寄せる事がよくあります。
辛い事があったら、小林多喜二の「蟹工船」や山本茂美の「ああ野麦峠」を思い浮かべ、あんなに辛い目にあう人もいるのだから、私はまだマシ!と自分を立て直したりもします。「ああ野麦峠」といえば、1979年に大竹しのぶ主演で映画にもなりましたが、ずっとビテオ&DVD化がなされませんでした。それがついに、2004年4月に販売を開始しました。幻の戦後ルポルタージュがついに自宅で観られるようになったのです。重く切ない内容ですが、一見の価値ありです。

小説系

お腹がすく素敵なストーリー

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ちょっと名の知れた料亭に先日行ってきました。平日の昼間は、ディナータイムでは手が出ないようなお店も、良心的な価格で提供してくれます。私のような貧乏人にはあり難い事です。季節のレディースコースを頼みますと、まず最初に茶碗蒸しが出てきました。私は思わず眉を顰めました。少し苦手だったのです。ですが、一口食べると今までの苦手意識を吹き飛ばすような美味しさで、あっという間になくなってしまいました。
ちょうどその時「みをつくし料理帖」という小説を読み終えていて、これが、江戸時代のご飯屋さんのお話で、出てくる品々の描写がとっても美味しそうなんです。それにも茶碗蒸しが出てきて、私は「ああ、こんな味なのかもしれないな」と思いました。美しい盛り付け、絶妙な味加減、舌に溶ける柔らかさ。仕事に対する一生懸命さと愛情を感じました。板前さんが何年もかかって掴んだ味というのはやっぱり格別で、リンクしたのです。
思わずお腹が空く、といえば他に「禁断のパンダ」これは少し衝撃的ですが。あとは、「妖怪アパートと優雅な日常」なんかも胃袋を刺激します。文字で涎が思わずこぼれてしまいそうになるなんて、スゴイ事です。
ちょっと話は変わりますが、「笑い三年、泣き三月」というのを読んだ時の、あの、お腹をすかせた男の子が待望のアレを食べるシーンには思いっきり泣かされました。美味しい小説をこれからも開拓したいと思っています。

小説系

命を救った特別な一冊

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鍵っ子だったので、学校が終わって家に帰ると一人きりでした。ある日、退屈になって父の部屋の床でごろごろ転がっていると、机に身体をぶつけ、上から何かが落ちてきました。それが私に読書の楽しさを教えた本で、村松友視の「時代屋の女房」でした。最初は何気なく読んでいたのですが、やがて夢中になりました。その日一日で読み終わってしまったのです。
それから私の図書館通いが始まったのです。家にあるのは全て読破してしまい、小学生ですからお金もありません。借りて読むしか術がなかったのです。時間はいくらあっても足りませんでした。学校の休み時間は何時も机で物語に浸っていました。
活字を追うばかりの生活が始まったのですが、それが思わぬところで私の命を救いました。
私の家から学校へ通う道には一度、国道を横切らなくてはならないのですが、ここが車の通りが激しく、非常に危ないのです。私はその日「時代屋の女房2」を手に、その道にさしかかりました。その時、不意に私の手から本が落ちました。蹐んで拾うと、また手を滑らせました。やっと手に取り、信号を渡ろうとしたその時、トラックが赤信号を突っ込んで来たのです。居眠り運転でした。前の車に衝突し、辺りは騒然となりました。このタイムロスがなければ、私の命はなかったでしょう。それは、不思議な運命が働いたと感じた瞬間でした。私は益々、本の世界にのめり込むこととなったのです。

小説系

読みたい本が多すぎる!

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給料日には恒例イベントがあります。それは古書狩りです。勇ましく古書店に乗り込み、両手いっぱいに抱えきれないほどに買うのです。これが月に一度の楽しみで、イベントになっています。古本は安いのですが、それでも何冊も買うと結構な値段になってしまいます。いつの日か値段を気にせず買い漁れる日が来る事を願ってやみません。
もし、100万円手に入れたら、50万は本に注ぎこむ自信があります。特に専門書は高価なものが多く、また、絶版してしまっている希少価値の高い本は目が飛び出るほど高価です。一冊、定価二千円と書かれている本でも、絶版希少本は二万以上に跳ねあがったりしています。
泣く泣く購入を諦める事もしょっちゅうで、毎回、机を叩きながら歯噛みしています。「生まれてくる時代を間違えた!」と。まず、なぜ希少本が高いかというと、それは購入する人が少ないからです。買う人が少ないと再版がされないのです。それから、良さを知らない人が多いのです。
私は、悔しいです。読みたい物を読めない苦しさ、手に入れられない焦燥さ、全部、貧乏のせいです!そして、本を読まない人が増えている事。何とかしなければなりません。貧乏も読書人の減少もなんとかしなければいけません!今こそ立ち上がるべきです!でも、何をすればいいのか皆目見当がつきません。

小説系

本を開いて調べる事の楽しさ

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疑問があったら、その疑問にまつわる関連書物を漁る事はとても有効な事だと思います。たとえば、園芸を趣味にしていて「そういえば、園芸の歴史ってどうなのだろう?」という疑問を持ったとします。そうしたら、花や木にまつわる文化史や、庭や、庭園、庭師についての歴史書などを読むと理解が深まります。園芸の奥深さや、ヒント、新しい発想などが生まれてくると思うのです。一度読んでみて理解できなかった事が、二冊、三冊と読み重ねるうちに分かってきたりもしますし「今までは外来種ばかりを取り寄せていたけれど、日本の古くから生息していた花を植えてみよう」と、わびさびの良さにも気付いて趣味が広がるかもしれません。また、日本は全体的にヨーロッパに文化要素では遅れを取っていたけれど、花卉園芸に関してはヨーロッパよりも進展が早かったという事などを知るのも楽しみの一つです。園芸がより一層楽しくなると思います。
今ある物のほんとんどは時代を積み重ねて進化してきました。その根元を探るのは面白い事です。歴史を知れば、物語が生まれます。綺麗な庭に一つの物語ができるのです。たとえば、インドゾーン、中国ゾーン、トルコゾーンといったように、進化してきた花を順番に植える事も楽しくなるかもしれません。庭でミニ薔薇戦争をしてみてもいいかもしれません。
知識は生活レベルをあげてくれます。それには、沢山の本を読む事も手段の一つではないでしょうか。

小説系
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